愛するペットと暮らす 大規模修繕工事のポイント
大規模修繕工事はマンションの資産価値を維持し、住環境を向上させる大切な取り組みです。
しかし、工事中の騒音や環境の変化は、人だけでなくペットにとっても大きなストレスになることがあります。特に犬や猫と暮らすご家庭では、こうした負担を減らすための配慮が不可欠です。
今回は、ペットと共に暮らす家庭が大規模修繕工事中に心掛けたいポイントと、ペットに優しい配慮について紹介します。
ペットの「五感」を理解し、事前準備を
ペットは人間よりも感覚が鋭く、特に聴覚や嗅覚が過敏です。工事中の環境は、ペットにとって通常とは異なる音やにおいが溢れるため、大きなストレスになりやすく、事前の準備が重要になります。
聴覚への配慮
犬や猫の聴覚は人と比べて非常に優れており、より敏感に音を感じています。
では犬や猫の聴力は人の聴力よりどれくらい優れているのか気になりますよね。一般的に、人間の4~5倍も聴力が発達しているといわれています。
また、聞き取ることのできる周波数(音の高さ 数値大ほど高音)は
猫 25~75000ヘルツ
犬 40~65000ヘルツ
人間 20~20000ヘルツ
とされていますので、高音域において非常に聴力が発達していることがわかります。
人にとって小さくて不快でない音も、犬や猫にとってはハッキリと聞こえる上に、不快に感じるということが大いにあり得ます。人間には聞こえない音ですら聞き取れると言われていますので、音によるストレスを受けやすいのも当然ですよね。
工事中は私たち人間でもびっくりするような大きな音がすることがあります。
特に、足場組立解体時の鉄パイプの甲高い音や、ハンマーやドリルの音などは、私たちも不快でストレスに感じます。より敏感な犬や猫はそれらの時期に落ち着かなくなる子も多くいます。
また、大型車両の出入りの際には振動が発生しますので、恐怖に感じるのはペットも同じかもしれません。
大切なペットが快適で元気に過ごせるよう、ストレスはできるだけ軽減させてあげたいものです。もちろん犬や猫の性格によるところも大きいのですべての子にあてはまるわけではありませんが、考えられる対策として以下のことを施してみてはいかがでしょうか。
防音対策を整える
できる限り工事現場から離れた部屋にペットのリラックスできる場所を作ってあげましょう。外からの音を遮断する方法としては、作業時間中は窓を完全に締め切り、防音カーテンを利用するのが有効です。
足場やバルコニーは、日中頻繁に作業員が通行したり出入りします。人の気配によって必要以上に恐怖心をあたえないよう、基本的にカーテンは閉め切っておくのが望ましいです。
人の気配でどうしても犬が吠えてしまう場合は、事前に管理組合や業者に共有し、
声の大きさや作業時間など、可能な限り配慮してもらいましょう。
難しいようであれば、近隣のかたへ事情をお伝えしておくことで、トラブルを避けられるように理解を促しておきましょう。
音楽やテレビを流す
生活音を意図的に流すことで工事音を緩和し、ペットの緊張感を和らげる効果が期待できます。
部屋が静まり返っていると、人間でも小さな物音でも気になりますよね。Youtubeなどで「ペットが安らぐ音楽」と検索するとでてきますので、利用してみるのも手です。犬や猫によって心地よい音があるとのことで、人間同様音楽はストレス解消に一定の効果があると研究で報告されています。
音楽のジャンルによっては逆効果になる場合もありますので、選曲には十分注意してくださいね。
嗅覚への配慮
犬や猫の嗅覚は聴覚同様、人間よりはるかにすぐれているといわれています。警察犬として活躍するのもその特出した能力ゆえのものです。
驚くべきことにその嗅覚は人間の100万倍だそうです。
猫は犬には及びませんが、人間の数万倍から数十万倍も優れていると言われています。
工事では塗料やシーリング剤などの化学物質が使用されることもあり、においに敏感なペットには負担になる可能性があります。事前に工事の種類や使われる素材について情報を共有し、工事中は窓を閉めておくなどの対策を行いましょう。
ちなみに換気扇は、室内と外の空気を入れ替えるためのものなので、稼働させると外の臭気が入ってきてしまいます。作業中はきっておきましょう。もしあれば空気清浄機を利用して、室内の空気を清潔に保つことが望ましいです。
安心して換気の行える時期や時間帯を業者に確認したうえで、空気の入れ替えを行うようにしてください。
また、優れた嗅覚ゆえに、飼い主やペット自身のにおいが染み込んだ毛布やおもちゃを配置しておくと、ペットは落ち着きやすくなります。工事中は特に、普段と変わらない匂いに囲まれることで安心感が生まれ、ストレス軽減に役立つとされています。
新しい遊びやグッズで気を紛らわす
活発な犬や猫のタイプの場合、ストレス発散のための遊び道具やおやつなどを増やすのもおすすめです。
たとえば、普段とは違う知育玩具やガムなどを与えると、工事の音や振動を忘れられるほど集中してくれるかもしれません。
いつもより長めにお散歩をするなど、積極的に気分転換できる機会をあたえてあげましょう。
外出や外泊をする
特に音が激しい作業のタイミングは、ペットを連れて外出することでストレスを軽減できます。
ご実家や友人など、一時的に預かってもらえる方はお願いするのもいいかもしれません。難しいようであれば、ペットのホテルやトリミングサービス、ペットの預かりサービスを利用するなどしてみるいい機会かもしれません。
我慢して家の中で待機しているよりも、ペットにとっても飼い主さんにとっても安心できる対策かもしれません。
管理組合や施工業者への「ペット配慮」相談
大規模修繕工事は管理組合や施工業者が計画的に進めるものですが、ペットへの影響を最小限に抑えるために、事前に相談や協力を求めることも可能です。
工事のスケジュールや内容の確認
いつどのような工事が行われるかについて事前に情報をもらうことで、騒音や振動が強い工事の際にペットを外に連れ出すなどの対策が取りやすくなります。
特に壁や床を取り扱う工事は振動が響きやすいため、確認しておくとよいでしょう。
ペットに配慮した施工計画の依頼
現在ではペットに配慮した施工方法を取り入れる施工業者も増えてきています。
たとえば、工事のうち最も騒音の出る作業を短期間でまとめて終わらせるような対応や、防音シートを活用する工夫など、配慮のお願いができる場合もあります。
ペットの健康管理を徹底する
工事中のストレスが原因で、ペットの体調に変化が現れることもあります。日々の健康管理を徹底し、異変に気付いたら早めに対応するよう心掛けましょう。
食欲や行動の変化に注意
工事の騒音や環境の変化により、ペットの行動に変化が出ることがあります。特に食欲が減ったり、元気がなくなったりした場合は注意が必要です。いつもと違う様子が見られたら、動物病院で相談することも検討しましょう。
こまめな水分補給と栄養管理
ストレスで体力を消耗しやすくなるため、ペットの体調を維持するためにこまめな水分補給や栄養バランスを考えた食事を心掛けることも大切です。
ペットの定期的な体調チェック
定期的に体調チェックを行い、普段とは違う症状がないかを確認することも重要です。工事期間中は特に、ペットの健康状態に気を配り、些細な変化にも気づけるようにしましょう。
おわりに
マンションの大規模修繕工事は、ペットとその飼い主にとって一時的な負担となることもありますが、ペットの安全と快適さを守るために、さまざまな工夫が可能です。
事前に工事の内容を確認し、騒音対策や居心地の良い環境づくりを行うことで、ペットのストレスを最小限に抑えることができます。
工事中もペットが安心して過ごせるような対応を心掛け、愛する家族(ペット)との快適な生活を維持しましょう。