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徹底解説 マンションの屋上防水工事の重要性

徹底解説 マンションの屋上防水工事の重要性

マンションの大規模修繕工事において、屋上防水工事は建物の寿命を左右する極めて重要な工程です。

屋上は建物全体を雨水や紫外線から守る防衛ラインの役割を果たしています。この部分に不備が生じると、雨漏りや躯体の劣化が発生し、住環境を大きく損なうだけでなく、修繕費用の増大を招く可能性があります。今回は、屋上防水工事の意義や主な工法、その選定基準について詳しく解説します。

 

ぜひ最後までご覧ください。

屋上防水の役割とは?

屋上防水の役割とは?

屋上防水の役割は、建物内部への雨水の侵入を防ぐことにあります。新築時は当然、防水工事が施された状態であり、水が浸入しないような仕様となっています。しかし、防水性能は経年劣化や外的要因によって低下します。特に屋上は直接的に紫外線を受けやすく、気温の変化や風雨など、外的要因を最も受ける場所であり、降雨量の多い地域では、屋上防水層が早期に劣化しやすくなります。これを放置すると、雨漏りが内部の断熱材や鉄筋コンクリートに悪影響を及ぼし、建物の耐久性が低下します。

 

また、マンションの屋上は一般的な戸建て住宅などの屋根とちがい、勾配の少ない平坦な陸屋根となっているため、非常に水はけが悪いつくりでもあります。水が溜まりやすいうえに防水性能が衰えてくると、建物内部に水が浸透しやすくなってしまいます。そのため、定期的な点検と修繕が必要不可欠なのです。

漏水が建物に与える影響

漏水が建物に与える影響

屋上防水工事を更新せず、劣化が進行した場合に考えられる影響を以下に簡単にまとめました。

 

 

1. 雨漏りの発生と室内環境の悪化

 

防水層が劣化すると、屋上からの雨水が建物内部に浸入し、天井や壁にシミやカビが発生します。これにより、室内の美観が損なわれるだけでなく、カビの繁殖によって住民の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。特に、アレルギーや呼吸器系の疾患を持つ方にとっては深刻な問題となります。

 

 

2. 鉄筋コンクリートの劣化と構造強度の低下

 

浸入した雨水は、コンクリート内部に達し、鉄筋を錆びさせます。鉄筋が錆びると体積が増加し、周囲のコンクリートを押し裂く「爆裂現象」が発生します。これにより、建物の構造強度が著しく低下し、耐震性や耐久性が損なわれます。最悪の場合、建物の一部が崩落する危険性もあります。

 

 

3. 修繕費用の増大と経済的負担

 

劣化が進行するほど、修繕範囲が広がり、工事の規模も大きくなります。初期段階での防水工事であれば比較的低コストで済みますが、放置することで大規模な補修や改修が必要となり、莫大な費用が発生します。また、工事期間も長期化し、住民の生活にも支障をきたす可能性があります。

 

 

4. 建物の資産価値の低下

 

定期的なメンテナンスが行われていない建物は、市場での評価が下がります。雨漏りや構造劣化が明らかな建物は、購入希望者や賃貸希望者から敬遠され、空室率の増加や賃料の低下を招くことがあります。結果として、オーナーや管理組合にとっての資産価値が大幅に減少します。

 

 

5. 法的責任と住民間のトラブル

 

マンションなどの集合住宅において、防水工事の未実施や不備による被害が発生した場合、管理組合やオーナーが法的責任を問われる可能性があります。また、雨漏りなどの問題が他の住戸に影響を及ぼすと、住民間でのトラブルや信頼関係の悪化を引き起こすことも考えられます。

 

 

以上が簡単に考えられる悪影響ではありますが、想定外の事態も考えられます。

そして、防水工事を検討しなければいけないタイミングも重要です。

 

「雨漏りしていないから大丈夫じゃないの?」と思うかもしれませんが、自分の部屋が雨漏りしたことを想像してみてください。とても平穏ではいられないはずです。

建物に水が浸入するということは、建物自体に大きなダメージを与えますので著しく躯体性能に悪影響を及ぼします。マンション全体の問題として考える必要があります。

 

屋上防水工事が必要なタイミング

屋上防水工事が必要なタイミング

屋上防水工事は、マンションの大規模修繕工事のタイミングで実施されることが多いため、更新周期は10年~15年を目処に改修を行うことが推奨されています。顕著な劣化症状があらわれていなくても、耐用年数としてうたわれているタイミングとも重なるため、大規模修繕工事の際に行うことを前提として修繕計画を立てておくことが望ましいです。

 

また、周期だけではなく、以下のような劣化症状が顕れている場合も実施を検討してください。

 

 ① 屋上のひび割れ・亀裂の発生

 ② 防水層の表面が変色、膨れ、剥がれ

 ③ 水たまり 排水口のつまり 

 ④ 室内での天井シミや雨漏りの兆候

 

はすでに漏水しているため、すでに建物内部に水が浸入してしまっています。一刻も早く防水工事を実施する必要があります。

これらの兆候が見られる場合、迅速に専門家や専門業者に相談しましょう。

 

主な屋上防水工法

主な屋上防水工法

屋上防水には、建物の構造や環境条件に応じてさまざまな工法があります。主に代表的な4種類を、それぞれの特徴、平均的な耐久性、そして概算費用を以下に紹介します。

 

 

◆アスファルト防水◆

 

アスファルト防水は最も歴史があり、施工実績が豊富なため、信頼できる工法としての安心感があります。多くのマンションの新築時にはアスファルト防水が施されていることがほとんどです。液状の溶解アスファルトとアスファルトシートを組み合わせて防水層を作ります。

常温工法・トーチ工法・熱工法の3種類の工法がありますが、今回工法に関しての詳しい解説は割愛します。

 

特徴: 厚みがあり耐久性が高い。熱工法で溶融アスファルトを使用して施工する。

耐久性: 約12–20年

費用: 6,000–12,000円/平方メートル

メリット: 高い防水性能と耐久性。重ね塗りによる修繕が可能。

デメリット: 施工時に火気を使用するため注意が必要。

 

 

◆ウレタン防水◆

 

ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗布することで防水層を形成します。複雑な形状の場所にも施工が可能なため、多く採用されています。直接ウレタンを塗布する密着工法と、間に専用のシートを挟む通期鑑賞工法の2種類があります。5年を目安にトップコートを塗りなおすことで、長持ちさせることが可能です。

 

特徴: 液状のウレタンを塗布し、硬化させて防水層を形成。

耐久性: 約10–15年

費用: 5,000–10,000円/平方メートル

メリット: 継ぎ目がなく複雑な形状にも対応可能。軽量で建物への負担が少ない。

デメリット: 施工する人により厚みが不均一になる可能性があり、施工品質に依存する。

 

 

◆シート防水(塩化ビニル系、ゴム系)◆

 

シート防水は、塩化ビニル樹脂製の防水シートを接着剤や機械で張り付けて防水層を形成します。下地に直接シートを張り付ける密着工法と、下地に隙間を設けてビスで固定する機械固定工法という2種類の施工方法があります。広い屋上の施工に適していますが、複雑な形状や凹凸がある場所には施工できません。

特徴: 防水シートを接着や固定で設置。

耐久性: 約10–15年

費用: 6,000–11,000円/平方メートル

メリット: 短い工期で施工可能。メンテナンスが容易。

デメリット: 施工部位の接着や継ぎ目が弱点となる場合がある。施工時に大きな音や振動が発生することがある。

 

 

◆FRP防水(繊維強化プラスチック)◆

 

FRP防水とは、建物の下地の上にFRP(繊維強化プラスチック)を塗布して防水層を形成する工事です。紫外線や外部環境による影響を受けにくく、耐久性に優れています。伸縮性に欠けるため、広い場所には適していないため、近年では屋上防水で施工されることはまれで、ベランダなどの狭い場所に採用されます。

特徴: ガラス繊維と樹脂を用いた防水層。

耐久性: 約10–15年

費用: 5,000–11,000円/平方メートル

メリット: 耐久性と防水性が高く、軽量。

デメリット: 紫外線による劣化が早い可能性がある。

 

 

施工箇所の劣化状況や建物の形状、防水層の過去の施工履歴によって最適な工法は異なります。

素人ではなかなか判断が難しい内容になるため、専門家に相談されることをお勧めします。

 

 

点検とメンテナンスの重要性

防水工事は一度行えば終わりではありません。施工後も定期的な点検とメンテナンスを怠らないことで、防水層の劣化を早期に発見し、必要な補修を行うことが可能です。工法別に長期的なメンテナンス費用も修繕計画に含めて、どれを採用するか検討することが望ましいです。

 

定期点検: 雨漏りやひび割れがないかの確認。

補修対応: 軽微な劣化箇所の迅速な補修。5~10年ごとにトップコートの塗布。

まとめ

屋上防水工事は、マンションの大規模修繕工事における重要な要素であり、住環境の快適さと建物の長寿命化を実現する鍵となります。建物ごとの特性や住民のニーズに応じた工法選定と、施工後のアフターメンテナンスをしっかりと行うことが成功の秘訣です。

 

当社では、豊富な経験と技術力を活かし、最適な防水工事を提供いたします。

ご相談やお見積りはお気軽にお問い合わせください。

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