大規模修繕委員会設置の意義と注意点
大規模修繕工事はマンションの持続可能な運営において非常に重要な要素です。
建物は時間と共に設備や構造が劣化していきます。そのため、定期的な修繕工事が必要です。
しかし、大規模修繕工事は、通常の修繕と比べて規模が大きく、複雑で長期間にわたり、長いものだと計画から完工まで2年以上の期間を要するものもあります。
1年ごとで交代する理事会だけでは引継ぎなどの対応が難しく、プロジェクトの継続性と一貫性が欠如し、計画の進行や品質の管理に支障をきたす可能性が高まります。
そのため、大規模修繕工事が終わるまでは固定したメンバーを持つことで業務の進行を円滑にし、問題が発生した際にも効果的な対処が可能になります。
理事会だけで進めるのは難しい?
なぜ理事会だけでの運営が難しいのか、というところではすでに述べたとおりですが、理事会では大規模修繕工事以外の通常業務も担っているため業務量が膨大になりすぎてしまうことも懸念されるからです。
また、すべての人が建築などの専門知識を有しているとは限りません。
知恵や経験を提供してくださる方が集まることで、マンションにとっての一大イベントを成し遂げるために大きく貢献します。
もちろん建築に精通する方のみでなく、多様なバックグラウンドをもつメンバーが参加することで様々な意見や価値観にそった内容にて計画することができるため、所有者全体からの参加を募ることが重要です。
いつ頃の設立が望ましい
マンションの規模にはよりますが、工事の立案から着工までには1年程度はかかる為、1年前には設立することでスムーズにすすめられます。
200戸を超えるような大きな規模や、何棟もある団地型のマンションであれば2年近く準備期間が必要となる場合があるため、早めの設立が必要です。
そろそろ大規模修繕工事を考える時期になってきたなという時期が設立のタイミング。
住民アンケートなどを利用して、修繕委員会に立候補される方を募りましょう。
修繕委員会立ち上げの際の注意点!
国土交通省が定める標準管理規約には
「理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。」
としています。
理事会の決議によって修繕委員会を設置することができるとの解釈ではありますが、事前に総会で承認を得ることが望ましいでしょう。理事会のみで設置を決めたことで管理組合から反感を買い、トラブルになったケースがあるようです。
修繕委員会はあくまで理事会の諮問組織であり、重要な決定は理事会および総会で行われるということを忘れてはいけません。
委員会と理事会の連携が図られ、情報共有が行われることで、透明性と効果的な決定プロセスの確保が必要です。大規模修繕に関わる業務を行いますが、業者選定や契約などの最終的な決定権は理事会がもちます。
修繕委員会が独断で色々なことを決めてしますとトラブルに発展する可能性が大いにあります。
円滑な情報共有により良好な連携を図る為にも、一部の理事役員による修繕委員の兼務や、理事会と合同ですすめるといった方法が望ましいです。理事会と修繕委員会が対立、または、修繕委員と管理組合が対立するといったことは一番あってはいけないことです。
きめ細やかな情報共有により、トラブルは未然に防ぐことができます。
活動に対する理解と支持を高めるためにも、管理組合への説明と広報も積極的に行いましょう。
修繕委員会の主な業務
実際に修繕委員会はどのような業務を行うのでしょうか。
以下簡潔にならべました。
大規模修繕工事の立案 進め方の検討
建物の劣化状況の調査・把握
工事費費用の概算費用の算出(予算管理)
施工業者・設計管理会社・コンサルタント会社の選定(業者選定)
工事中の監理・検査
住民対応 アンケートの実施や広報業務
修繕委員会の設置は、大規模修繕工事を成功させるための不可欠なステップであり、マンションの長期的な価値と住環境を維持するための重要な取り組みです。
また、果たす役割は多岐にわたり、重大任務といっても過言ではありません。
大規模修繕工事はマンションにとっての一大イベント。
長く安心して暮らせるマンションのためにも、修繕委員会の活躍が必要不可欠です。
ただし、これらの業務を自分たちだけでこなしていくのは不安ですよね。そんな時は専門家の助けを借りるのが得策です。
そろそろ大規模修繕工事を考える時期だけど何からしたらいいのかわからない。
そんな方もまずは気軽にご相談ください。